2年間ずいぶんこしらえてきました。これで完成です。
昨年 ご紹介した2026記事でXLR-Phantom amp「Micro leaf Base」
をバージョンアップ・実用に向けました。
バランス入力のFetv1 とアンバラ入力のFetv2 を試作しましたがICS-40730の差動使用による+6dBのゲインアップするよりも2芯シールド線が使える方が重要という判断をしました。
アンバラ入力の「Fet v2 」、こちらの完成度をUPさせ実用に向けました。
ICS-40730は±差動出力を使ったとしても単に6dBレベルUPするだけでMEMS-OUTインピーダンス以外、SN比・ダイナミックレンジほか重要なファクターが変わるわけではない。
また組込み型マイクでない限りマイクカプセルの延長ケーブルが必要だが一般的でない「3芯シールド線」となる、ここは送り出し部分ではないため2芯でイケる「Fet v2」の方が実質的であるという結論に達した。
そして用向き次第で3芯式も可能とした方が実践的である。
(ミニXLR入力 XLR AMPについて)
これは8年前FetⅡのセパレート化のために考案したのが始まりです。
そして数ある既存メーカーのXLR-Ampの「どれよりもSN比がよい」という評価がひろまりました。
この時はためしに作ってみただけですが、鉄則は3つ。
・単純回路
・良い部品(特にコンデンサー)使用
・ツェナーダイオード拒否
記事1336のこのときのXLR AMPと、Fet v2はそのままでもECMでは共用できます。
ブリーダー抵抗2.2kΩを10kΩにすればVdd電圧は7~9VとなりECM専用となります、その場合MEMSマイクでは電圧オーバーとなり壊れる可能性が高く共用は不可となります。
(バージョンアップ・変更点)
1.基板長さ1mm短縮(4×4穴に収納)12mmに
2.ミニXLRブラケット固定の為上面からエポキシ注入を追加
3.AWG28→AWG32ワイアーに変更
4.C・R1個づつ排除した回路に。(回路動作・結果も同一)
5.Vdd電源をブリーダ・ドロップ方式に変更、電圧を2V→3VにUP
6.同分圧抵抗を47k→47.0kとし上下のFETドレイン電圧のバランスUP。
7.Vddの電源インピーダンスを低下させMEMSマイクの動作安定に有効なデカップリングコンデンサ50V10μF(ニチコンMW 電解)を追加した。
前作から1mm縮めました。これによりミニXLRとの配線(AWG-32)の隙間に若干の余裕ができました。
(小さいことは正義) しかしよほどの覚悟が必要。
高密度実装の機器は小さくすればするほど衝撃・振動などからの耐久力は増す。
4穴×4穴でこの回路をジャンパー線ナシで実現するためには部品配置のバリエーションはない。経験上回路図通り配置することこそが唯一の方法としています。
結果ジャンパー線はGND線1本のみで実現している。
XLRコネクタおよびミニXLRコネクタのはんだ付け側は最短に切り落としてはじめて実現できます。くれぐれも無加工のままのコネクタで何とかしようと思わないでください。
コネクタはノーマルのままではこのSWTCHI CRAFTのA3Mケースには絶対に収納できず、記事2012のように20mmは長くなるでしょう。
回路的にもMEMSマイクの動作に適正化するべくVddインピーダンス低下をはかり動作安定性を向上させた。
「ドレイン・ソース互換作用」
2026の記事を見直して「アッ」と驚いたことがある。
写真を見るとFETの裏表が逆使用、つまり「ドレインとソースが逆接続されている。
恥ずかしいがこれはこれでもいい、接合型FETには「ドレイン・ソース互換作用」という実に都合の良い特性があり、仮に間違ったとしてもまったく問題なく同一動作をするからである。( 汗汗・・・)
しかしそれはチョンボの言い訳には変わらない、当然正規方向にしてリベンジです。
前作から1mm縮めた
回路図通りの配置が一番合理的であった。
ジャンパー線は1本のみ
(回路)
事績と定評のある「FetⅡ」を代表とした「ファンタム式パナ改マイク」譲りのFET使用のShinオリジナル回路採用、近距離でのパフォーマンスは絶大。
高機能OP-AMP ICでもあるMEMSマイクの動作に必要な「電源系の低インピーダンス」を強化した。
またVdd電圧を分圧・ブリーダー方式とし、MEMSマイクに対し適正電圧3Vを与えた。
分圧抵抗47kΩはドレインとパラになるので①~②、①~③間の印可電圧はこの47kΩの精度によって大きくばらつく、47.0kΩまで選別して使用することで、大幅に改善される。
それでもツェナーダイオード「雑音発生器」の使用は当初より断固拒否して譲ることはない。
以上によって使用パーツは増えたが、実装密度を上げ、基板は長さ方向に1mm縮めてミニXLR側との配線部の空隙を増やし、AWG-32線材の使用とあわせてそれを楽にさせた。
(回路図)
10年以上変りばえしないShinさん回路、と思いきや細部で進化していることにお気づきください。
(高品位汎用XLR-AMPとして)
ミニXLR入力のXLR Phantom Ampは市販品が各種あります。
MEMSマイク用としてミニXLRのピンアサインが同じなら電圧に注意すれば他メーカーまたは汎用XLR-AMPの使用も可能であるが、有名・無名どれを持ってきても、ほぼSN比でFet v2に及ばないこと及び「Vdd」電圧には注意しなければならない。
メーカー製はECM用であるため電圧は5V~9Vと高く、3.6VmaxのMEMSマイクは破壊する確率が高い。
しかし、その逆使用(Fet v2 を他社マイクに使用すること)によるメリットは大きい。
次は「Lz V2 」が目標か、いうことになるはずですがこのサイズにすることは今のところ完全にお手上げです。
過去のXLR AMPと並べてみた。
以上
おしらせ
fetⅡ、fetⅡi、fet3、LZⅡb など、読者のかたからのご注文により人気機種の製作領布を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作します)
FetⅡmems、およびProbeⅡ(Mems)マイク使用も同様にリリースしています。
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