今年はMEMSマイクで始まりMEMSマイクで締めることにしました。
それは正月明け、「ProbeⅡ 」ショックから始まりました。
最高品位のMEMSマイクの見せるパフォーマンスには誰もが驚いたことと思います。
ICS-40730の成せるワザとはいえ開発者自身がもっともそれを感じたかも知れません、久々にすがすがしい感激を味わいました。
続いて「業界最小単一指向性マイク」をMEMSマイクで挑戦し、一定の結果を得ることができました。 さて、この1年でどこまでそれが発展できたでしょうか。
特に小口径では実現しづらいといわれる「単一指向性」コンデンサマイク、MEMSマイクではその事例すらない。
「ないものネダリ」の筆者は「ProbeⅡ 」(先端口径6mm)の単一指向性版の試作にて実用性を探ってきました。
逆相取り込みMEMSマイク位置と同部分の開口 2つの事例
バラック実験を繰り返すなかでこちらの方に軍配が上がった。
無指向性しかないMEMSマイクの世界で「仮想音圧傾度」型の単一指向性とするため一定の制約がありますが実現してなんぼの世界。
試作を重ねてBETA58ケースのMEMS単一指向性マイクを実現させましたが、同一概念で6mmパイプの中に実装する方法をとりました。
今回それを見直してバージョンUPしました。
(実装図)
マイク送出AMPへの逆相信号の取り込み方法はいくつかありますがBETA58ケース時および6㎜超小型単一の手法を踏襲しつつ考え方を発展させました。
(回路図)
逆相信号同士を同一入力信号としてMIXする不義理よりも+ーそれぞれの入力回路から正相・逆相別々に入力してやることで前作で感じられたひずみ感が消え一層高い品位を得ました。
180度比(前後比)は平均10dB程度のワイド単一指向性は(オムニカーディオイド)と呼ばれホール録音などでよい結果が得られることで知られています。
使用MEMSマイクは業界ブッチギリ性能のICS-40730で正面音圧をとらえ、逆相側には微小形状でこれまた別格性能のICS-40740(SN比70dB)を使用、背面側に配置しました。
(結果 その他)
音質は基本状態「ProbeⅡ」=無指向性とほぼ同一である。
背面感度(180度感度)は正面比、平均10dB程度、これはホール録音などで良質な響きを伴った収音が期待できる指向性能といえる。
前作、および「背面マイク」を先端側にすることにより可聴域内で位相干渉的ひずみを感ずる特定域があったが今回、背面マイクの位置(ℓ=40mm)とすることでそれは消滅した。
6mm径単一指向性はバンタムマイク以外に見られないが、この原理を2119の「ニードルマイク」に応用すれば3mm径の単一指向性マイクが実現することになる。
(今後)
指向特性をさらに改善し、前後比20dBをめざす。
音質的には十分完成した。
最近、MEMSマイクに関する記事を非常に多く書いていますが、この分野では先行事例が見られないことから私のような個人であってもメーカーに先行して未知分野に進むことは一切遠慮しません。
結果はどうであれ「めざした事、プロセス」は財産、結果は甘んじて受けます、それがすべてです。
また、今後も「全公開」を旨としてマイクロホンの世界を前に進めることをお約束します。
みなさま どうぞ良い新年をお迎えください。
Shin
おしらせ
fetⅡ、fetⅡi、fet3、LZⅡb など、読者のかたからのご注文により人気機種の製作領布を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作します)
FetⅡmems、およびProbeⅡ(Mems)マイク使用も同様にリリースしています。
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