転ばぬ先の杖 とはいうものの・・・・・
時としてシートベルトやエアバッグだって凶器に変身する。
ならツェナーダイオードはどうだろう
「ツェナーダイオード」はアナログ信号ときわめて相性が悪い。
「ツェナーダイオード」と書いて「雑音発生素子」と読む)
(例のアマゾン超激安コンデンサマイク の場合)
まずこの製品では9V台のツェナーダイオードが使われている事が決定的ミスであります。
ツェナーダイオードは逆電圧をかけていくと5~6Vを境に下の電圧ツェナーは「ツェナー降伏」それ以上は「アバランシェ降伏」によって定電圧作用を示します。
つまり動作プロセスの違うデバイスをひとまとめに「ツェナーダイオード」と呼んでいるに過ぎません。
このように半導体メーカーでは「別デバイス」として扱っています。
5V以下のツェナーダイオードは流す電流によってツェナー電圧が大きくバラつくため好まれず6V以上ではノイズレベルが高い、ということになります。
特に問題なのは「アバランシェ降伏」=(電子雪崩)の領域ではツェナー領域に比較し、ケタ違いに大きなノイズを広範囲な周波数帯にバラまきます。
さらに難しいのはアバランシェ領域ではツェナー定電圧電源インピーダンスは20Ω以下と、非常に低い値になります。
この領域のノイズ(ホワイトノイズ)は電圧振幅だけでなく電源インピーダンスの低さから電流振幅を伴った大きなエネルギーを持つのが特徴です。
「ノイズにはパスコン」という電子回路の常識はここでは通用せず、このホワイトノイズを消すことは絶対にできません。
どんな種類のコンデンサを用いてもこれを鎮めることは不可能なのです。
知ってか、知らずしてか 6V以上のツェナーダイオードをアナログ回路に、ましてやマイクロホンに使用するなどまさかの自殺行為以外の何物でもないと言えます。
【一般オーディオ回路でも】
このプロセスは宿命的なものであり、アナログ信号に対して殺人的ダメージを与えます。
オーディオ回路で何をやっても残留ノイズ「ホワイトノイズ」レベルが下がらない場合は今一度確認する必要があります。
それはどんなに「高級低雑音素子」を使おうと、そのご利益など全部キャンセルしてしまうほど強烈です。
アバランシェ領域のツェナーダイオードはノイズを出すのが商売のようなもの。
どうしてもツェナーを使用せざるを得ない場合は5Vを含むそれ未満のツェナーダイオードをシリーズ接続して、その合成によってこの恐ろしい「アバランシェ降伏ノイズ」からは逃げられます。
一方、過去の経験も参考になります。
1217:Behringer ECM8000を「使えるマイク」に改造(中編) http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-11230219227.html
4年前のこの記事でもアマゾンの中華マイクと同様の方法でノイジーな有名安物マイクを実用マイクに変身させています。
このように猛毒のツェナーダイオードを、ましてやマイクロホンに用いるなど言語道断の行為、これを避ける回路として「非安定ブリーダー・ドロップ方式」こそマイクロホンにはふさわしいことを訴え続け、Shinさんのマイクには当初からいかなるツェナーダイオードの使用も拒絶しています。
「ファンタム式パナ改マイク」では6年半前の試作機からツェナーダイオードを拒絶しているわけですが、優れた方式であることをあらためて実感します。
以上
(お知らせ)
fetⅡ、fetⅡi、fet3など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (オリジナル・パーツで製作)
(Shinの「ファンタム式パナ改マイク」は従来通りPanasonic WM-61A使用です)
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ShinさんのPA工作室 管理人
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