1万2千円のリボンマイクが益々の人気、だと云ううわさを耳にした。
ここ最近、リボンマイクの復権はとどまるところを知らない。
価格はピンキリで1万円ちょっとから数十万円までズラッとラインアップされている。
そのなかでも注目されているのがMXL社のR144 (12,000円)です。
このマイクロホン、当たりはずれを語る以前に設計不良だ。
値段が値段だけに無理は言えないがこれはまともなマイクロホンメーカーの仕事ではない。
グリルの網を軽く叩いた時のノイズ分布とレベル
タッチノイズには60HZにピーク があり、「♪ボンボンボン」と耳につき、このマイク固有鳴きとして何の音にもそれが付きまとう、それがこのマイクの最大欠点となっています。
リボンマイクユニット(モーター部)は単純かつ素直に出来ているのでケースを裸にした音は実にスッキリとしてイイ。
要するにその 固有鳴きをなくすことで価格をはるかに超えた優れたリボンマイクになる、という単純なことも意味します。
しかし「なんちゃってノイマン」の元祖、南半球のメーカーしかり、中国製に限らず「格安コンデンサマイク各種」を例にとってもはそんなのが多いです。
使用する側もそのたぐいのノイズはショックマウントで防げば良いヨ、という安易なあきらめが普通となっているがShinはそう思いません。
金属性支持柱も薄い板金なのでここは「ブチルゴムテープ」を巻いてダンプしたがこれだけでは鳴き止めにはまったく不足だった。
ナニクソ、 めげている場合ではない。
されば・・・・・と、こんな荒技を実施。
スズメッキ銅線はグリル内部で強く縛り、結び目部分はエポキシ接着剤で固めた。
これによってグリル鳴き(バネ性TまたはK が支配的) はこの「バネ性(T)または(K)をダンプし、きわめて小さくにすることによって固体振動周波数を変えると同時に機械的Qを低くすることによって「ボンボンボン」云う固体振動を抑えた。
そこまでやれば当然結果は出るだろう。
!マイク固有の筐体固有振動は「害毒」です。
60HZのピークは完全に消滅した。
できた、60HZのピークらしきものはすべて消え去り、上波形の通りなだらかな山に変わった。
「♪ボンボンボン」は「トットットッ」という無機質な音に変わり、固有鳴き消し去り作戦はかくして完了した、
他の音も「固有音」のつきまとわりがなくなり、音質そのものの次元が変わった。
ステンレス線(0.4φ)で実験
錫メッキ銅線と同じ傾向だが
☆ スズメッキ銅線 0.4φ
☆ ステンレス線 0.4φ
あきらかに聴感上は銅線に軍配を上げざるを得ない。
原因はまだ判明しないがブラフではよくわからないファクターなのかもしれない。銅線は「比磁性体」、「粘性が高い」、このあたりだろうか・・・・・・。
ここから先は「ショックマウント」の出番でもイイだろう。
(記事後記)
原因があって結果があります。
結果を見て原因をつき止めることが私のやりかたですが、こういうかわいそうなマイクロホンは放っておけないのです。
激安マイクは結局不運にも99%の出来なのに製品化されてしまって「完成に至らなかった」できそこない製品たちと言って過言ではありません、そういうマイクロホンは「激安品」に限らずあらゆるメーカーと機種のなかにワンサカあります。
メーカーブランドにだまされず、それを制してまともなマイクに生まれ変わらせた時の驚きと喜びはなにものにも代えがたいものがあります。
しかしマイクっておもしろいものです。
後編に続く
(お知らせ)
fetⅡ、fetⅡi、fet3など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (オリジナル・パーツで製作)
(Shinの「ファンタム式パナ改マイク」は従来通りPanasonicWM-61A使用です)
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