リボンマイク(両指向性)と「ファンタムパナ改マイク」(無指向性)、夢のコンビネーション。
両指向性+無指向性=単一指向性
前回は自作リボンマイクについて東芝Bベロを手本に手さぐりながら高品位リボンマイクの足元にたどりつきました。
なにげない会話など、あまりのリアルさに「ゾクッ」とするほどだ。
チェロのディテール・表現力も絶品、おそらくクラリネットなどもしっかり歌わせるリボン・マイクロホンに仕上がった。
新しい流れのリボンマイクは
1983年、日本とアメリカでほぼ同時に発明された超強力小型磁石、「ネオジウム磁石」 の登場がリボンマイク・ブームの陰の功労者であろう。
http://www.neomag.jp/magnet_history/history_top.html
ヨークのない磁気回路は従来と変わらない磁束密度が確保できるため大幅に軽量化・単純化され、マイクの超軽量化、スリム化も実現させ、デザインの自由度の確保によってレガシーなリボンマイクは大きく変わりました。
更にShinは単一指向性化をめざした。
その方式は「無指向性コンデンサマイクとの合体です。
これは75年前、Westurn Electricの639A(B)がRCAのパテントを回避する秘策であった。
今回はこれによって現代的なワイドな音色と併せて感度の上昇も同時に狙った。
(指向性)
VRはDCをカットしないとすぐガリになるが今回は実験につきお許しを。
無指向側(ファンタムパナ改マイク)の感度を上げていくと裏側からの感度が「スッツ」と落ちる点がある。
この点が正面感度も高く良いのですが、よりリボンマイクの音にこだわりたい場合はこのVRを適度に絞ってやると感度は落ちるが「ワイドカーディオイド」型として独特の雰囲気を捉えてくれます。
=無指向性カプセルが乗っている。
(アクティブ・リボンマイク?)
いいえ、パッシブリボンです、リボンマイクはリボンマイクとして、「ファンタムパナ改マイク」は無指向性コンデンサマイクとして動作します。
おもしろいのはケーブルにカナレのL-4E6Sを「4芯ケーブル」としてリボン側、WM-61A(改)側とを分離してXLRコネクタ部の基板まで引出します。
で・・・ファンタム電源をOFFにすると純然たるリボンマイクに戻る、という世にもまれなマイクとなりました。
【リボンマイク部の難所】
(リボン成形の秘技)
1.8ミクロン厚=0.0018mmのアルミ箔リボンにコルゲーション加工。
(ダボを転がしてヒダを形成する)
ヒダは元に戻ろうとするため安定するのに丸一日程度かかる。
それにしても1.8ミクロン厚の箔は手ざわり感覚がほとんどない、この経験は貴重。
※心と体調が安定した時しかこの作業はムリです。
リボン材の切り出し
(プラスチックの定規など箔が貼りついて取れなくなってしまうので脱脂処理した金属スケール使用)
切断も「フェザーカミソリの刃」を低角度にあて、静かに手前に引く。
(普通のカッターでは材料側までゴチャゴチャにちぎれ、まったく刃が立たない)
エアコンの気流だけでも「フワフワ」と舞うので暑い室内で、磁極と水平に張るだけでもかなりの根気と慣れを要します。
磁石があまりにも強いためピンセットなど使えずひたすら「素手」と「爪楊枝」を工具にする。
気に入った音質、感度、SN比を求めて張っては直し、張り替えては、また張り直し。
20cm四方の箔材から幅6x長60mmのリボン材切り出しから始まるこの作業、おかげで既存のリボンマイクのメンテナンスも怖さは消えました。
以上
(お知らせ)
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(Shinの「ファンタム式パナ改マイク」は従来通りPanasonic WM-61A使用です)
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