自分のちょっとした気まぐれから始まったアマゾン中華マイクの高品位化はみなさまの手によりすっかり定番化し、半年経過した今でも改造結果に満足された方から驚きのメールを戴いております。
また今月には「MJ」(無線と実験)にも改造紹介記事が掲載されました。
「超高級マイクと肩を並べる超激安マイク?」という取材からたった10日で出版されるとは、これもまた驚きでした。
さて、1インチカプセルが入手可能になったいま、今回はBM700を大口径化してみました。
文句なしの大口径コンデンサマイク
その音は一層グレードアップし、普及型コンデンサマイクとは一線を画す性能を見せています。
一方、元の16φカプセルでもソースフォロワの音質はきわめてハイグレードであることも併せて再確認しました。
使用カプセルはフラットなKT2578ECを使用しました。(カプセル入手については、こちらにお問合せ下さい) https://www.kouwa-tech.tokyo/contact.html
プレゼンスピークのあるKT2564ECも同様に使用できます。
(BM800とBM700の違い)
構造的にはウィンドメッシュの違いだけであとは何も変わりません。
またこの部分はどちらにも付け替えられる互換性があります。
この例ではBM800の方が暖色系、BM700は寒色系のメッキ。
★この改造は NW700 800ではできません。
(風防構造の違い)
左、BM700のウィンドメッシュ部は1重網+スポンジ
右、BM800のウィンドメッシュ部は二重網
ここはBM800の構造を採用することにした。
中のスポンジをはずし、写真のステンレスメッシュに置き換えた。(Su メッシュ60使用)
これは音に影響します、トップの写真のように中のカプセルが透けて見えるようにデザインしました。
デザイン的に必要のない場合はスポンジのままで良いでしょう。
(鳴き防止、カプセル固定方法)
BM700、700シリーズの鳴きの強さ、タッチノイズの強さの原因として複数の要因があるが、カプセル部および支持台の「質量」の小ささは決定的です。
また、「コンデンサマイク」ですのでTOP-FETゲートと周囲金属との関係はカプセルとは別のコンデンサマイクして大いに動作します。
防振構造は電気的・機械的このようにしました。
1.配線材は同軸ケーブルでは感度がやや下がるため既存の配線をそのまま使用しました。
2.カプセルを25φゴム「グロメット」で覆いました。
3.支持台は「アルミ削り出しツマミ」をルーター彫刻でグロメットがちょうど収まるよう切れ込みを加えました。
(ルーターで切れ込みを彫刻)
4.支持台とカプセル部の固定はツマミのネジ穴2つを使って0.4mmメッキ線でグロメット周囲まで締め付け、半田固定。支持台スキマは接着剤充填。
支持台は切れ込みの入ったアルミ削り出し「ツマミ」
(写真はKT2564ECで作業されています)
タッチノイズ異音「プルプル」音対策)
※:カプセル裏側の真ちゅうメッシュはカプセル背面と外側金属との間で生じる容量変化による「プルプル」というタッチノイズの除去をおこなっています。
2箇所半田でカプセルGNDに落としている点が鳴き止めに重要です。
また、この形状はこれ以上膨らますと「プルプル」が現れ、カプセルとの間隔を低くすると好ましくない音質に変化しますので微妙なポントです。
実験はしていませんが薄板金を使用した場合、別な鳴きと音質変化を想定しています。
※元の基板のままですので、さらに音質UPをめざすならこの基板をはずし、Shinさんの回路をアレンジするか、ヤフオクにあった「xx700、800高音質化改造用基板」など、これはShinも試しましたがイイ音でした。
(結論)
カプセル換装はコンデンサマイクロホンとしてのあらゆる要素が加わり「ただ入れ替えるだけ」といったイージーな夢は実現しません。
機械的、EMC的、動作原理的な面=すべて「原理原則」から詰めていく必要のあることを実体験からお伝えします。
以上
(お知らせ)
fetⅡ、fetⅡi、fet3など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (オリジナル・パーツで製作)
(Shinの「ファンタム式パナ改マイク」は従来通りPanasonic WM-61A使用です)
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