ツルツルの金属面は音響的に好ましくない事が多い。
マイク作りの中でそれをなんとか対策したい場面に遭遇した。
そこで思いついたのが「砂打ち加工」だ、しかし名案が浮かばない。
「砂に何を使おう」、「どうやって材料に強力にまんべんなく貼り付けようか・・・」。
まず「砂」を決めねば、とホームセンターと100円ショップをひとまわり、「砂絵」の砂などが思い浮かんだが、「そうだ!使い捨てカイロの砂だ」とひらめいた。
「使い捨てカイロ」この中身の「砂」を利用
100円ショップの安物がイイ。内容物である「砂」はカイロが十分冷えてから使用。
乱反射を促す為に、この砂はカタチの不揃いな安物使い捨てカイロの中身が適しているようです。
ちなみに正統派の「ホカロン」では砂が細かすぎ、粒も揃いすぎなので残念ながら使用を断念せざるを得なかった。
(貼り付け剤)
砂の接着材・・・「シンナー・ボンド」(Shin考案の仮称)の作り方
材料・道具:
1.ラッカーうすめ液=「ラッカー・シンナー」
2.ボンドG-17(ゴム系ボンド)
3.ガラスビンまたは陶器皿
4.絵筆
左からラッカー・シンナー、ボンドG17,出来上がったシンナー・ボンド、絵筆
ボンド1に対しシンナー3の割合で良くかき混ぜて溶かす。
これがオリジナルの「ボンドG17」では手の届かない「筆塗り」などで強力な接着力を見せます。
(手指に付くとかなり始末の悪い、つまり「強力液体接着剤」の完成)
※記事末の(特記)「シンナー・ボンド」についてをご覧ください。
(作業)
この材料(流しスノコ)両面を「砂打ち」加工する。
2つの大きな穴にはマイクを仕込む為「砂打ち」によってマウント周囲の反射を防ぎ・鳴きを静めます。
※材料は製作中のマイクロホンのマウンタとなる部分。
風呂場の排水口ゴミ受け皿を加工中のモノです。
① 材料はサンドペーパーで金属面にまんべんなくキズを無数に入れ、そのあとアルコールで脱脂する。
②片面づつ「シンナー・ボンド」を筆でまんべんなく塗る。
③カイロの砂を高い位置(30cm位)から少量ずつまんべんなく材料にふりかける。(乾燥が早いので作業はすばやく)
④「ビッシリと砂の付着した材料」、片面を終えたら10分以上乾燥させ、裏面も同様に繰り返す。
⑤両面とも作業が終わったら良く乾燥させる。
(側面についた砂はココ「で落としておきます)
余分な砂をはらうと「シンナーボンド」で貼り付けた砂は良く貼りついているのがお分かり頂けますがまだ不完全です、部分補修の「砂打ち」と筆補修をしておきます。
⑥良く乾燥してから「シンナーボンド」を重ね塗りして砂を定着させます。
⑦乾燥後、砂は無理に剥がさないかぎりしっかり定着(接着)し、「パラパラ」と剥がれおちる事もありません。
「完成」
※(特記)「シンナー・ボンド」について
今回製造した「シンナー・ボンド」は乾けば元の接着剤と変わらない接着力を見せるが、ほぼ完全な液体であることから用途は無現に広がります。
液体接着剤としては「アロンアルファ」=(シアノアクリレート系接着剤)が簡便ですが、「モノマー」=(発生気体)による白化現象を避けることが出来ません。そのため使用箇所は限定されます。
一方、「シンナー・ボンド」は筆やハケで塗れ、適度な弾力性を伴って強力接着が可能で白化現象がないため、アロンアルファでは手の届かなかった「外観に近い部分」で使用出来たり、複雑な形状部分への「流し込み」も容易、建築用途にも有効、価格が安いのも特徴です。
以上
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