新年第2号目はφ20口径のサイドアドレス型単一指向性マイクロホンがC・Rのみの平衡出力回路で実現できた。
「DIRECT u1」 と名付けました。
使用カプセルは単一指向性のUEM-20です。
同シリーズのφ16であるUEM-16が口径を感じさせない大変優れたカプセルなのでそちらに気をとられているうちにご紹介が遅れました。
φ20のこちらの方も低雑音・高出力、ダイアフラムの大きい分低域まで延びています。
「どうせならバリバリのサイドアドレス・タイプだ」と、こんなマイクにしました。
同一手順でφ16のUEM-16も大変お薦めです。
デザインはBlueなどに見られる形状に学び、上部は完全手づくり。 (枠の凸凹は要改善点ですね)
ボトム部分は「fet-3」に用いている「アキバ 小沼電気」のXLRオス-Phoneメス変換アダプタを使い、首が360℃回転する構造にし、XLRコネクタ部にはマイクAMPならぬC・Rによるバランス変換回路兼ECM電源回路が入っている。
ここまでは何の固定もしていない、妙な金属加工だ。
上部マイクケースはせっかくマスターした金属メッシュの絞り加工を生かしたかったのでステンレスメッシュ(メッシュ30)を治具を使って絞った。
問題は金属ワクだ、アルミは安っぽいしステンレスは加工しづらい。
画材屋で洋白材、「ジャーマン・シルバー」・・・(500円玉とほぼ同じ)を見つけた。
暖色系のやわらかい金属色でこれは簡単にハンダ付けできるし穴あけも容易なので、決まりだ。
(ただ、柔らかくバネ性の弱い金属なので、凹凸なく仕上げるのが難しい)
それで上下の分離は「アッ」と驚くこんな方法、ミニプラグのような不安定さはない。
単一指向性マイクは擦動ノイズ・タッチノイズに対して無指向性比10数dB不利なため防振処理は入念におこなう。(あまりキレイではないが、反省)
(追加誘導ノイズ対策)
完成後、マイクから手を離すと小さく誘導ノイズが確認できるためショートしないように養生ながらカプセル裏側を銅メッシュ30で覆い、太線でケースに接地・半田した。
このようにアース・シールドまわりは余程注意を払ってもやりすぎにはならない。
ただし、表側・裏側共に「音響抵抗」にならない範囲でメッシュ材は上手に使いたい。
いずれも100円ショップの耐震マット
①真ん中の薄青色と右の透明のものが「エラストマー」、エラストマーは強粘着性であるが20φを自力で包む程の粘着力はない。
また、「エラストマー」は接着剤材料でもありこれを接着する接着剤もほとんどなく、わずか業務用のごく限られたシアノ系のみとなる。
②濃い青色のジェルが防振材(ポリウレタン・ジェル)=100均の耐震コーナーにある「耐震マット」・・・・(全く異なる硬いものもあるので「材質表示」を要確認)
・・・エラストマーよりやや硬い。
・今回、真ん中の薄青エラストマーでカプセル1周を包んだあと、「モノフィラ」・・・(コードしばりの針金入りビニール)でずれないように防振材とカプセルを一体化させた。
上部は金属ワクに対し粘着性を利用してクッションを持たせ、下部は6φプラグの裏側から浮かす(こちらは狭い範囲で行なった。
☆アッ、そうした場合、この針金はケースに接地しないと誘導ノイズが出やすくなります。
ケースの洋白(ジャーマンシルバー)は半田が良く付きますので。
メーカーでも採用実績のある「人肌のゲルシート(硬度0) 」もエラストマーにソックリである、他「ゲルタック」「ハイパーゲル」「ビットクッション」などが専門業者から入手可能である。
【使用カプセル特性表】
★本来UEM-20はオンマイク専用のカプセルですのでこのような特性になっていますが100HZ~10KHZはフラット、低域に向かった降下もまずゆるやかなロールオフと考えて差し支えないとして今回使用。
★ヘッド部をこの2種類用意してもおもしろいと思います。
【DIRECT u1 回路図】
過去のDIRECT方式を全面的に見直し、C・Rだけで完全平衡出力回路を実現した。
出力インピーダンスは410Ω、抵抗680 Ωを外すと1.2kΩ、(約10dB程度のレベル変化あり)
ケミコンは音質比較の上BP(バイポーラ型)のnichicon 「MUSE 」を使用しました。
DIRECT 1 やDIRECTⅡ の時、「ランダムノイズ消し」で悩んだのがウソのようだ。
この回路を使って、バラック試作中、もっと安い15円の普通のケミコンでも試したがこれでも問題ない音。
≪基板写真≫
コンデンサと抵抗のみ、FETやTRは存在しない、たったこれだけ。
果たしてこの路線、ファンタム動作マイクのUNB/BAL変換のニュー・ウェイブとなり得るか・・・・・
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