マイクロホンはカプセルで決まる。
いままで自作マイクといえば10φ未満の無指向性が主でした。
それ以上の単一指向性カプセルは入手の難しさ、ロット単価など個人では壁の厚いジャンルでありました。
このたび、国内のある専業メーカーとコンタクトがとれ、単一指向性バックエレクトレット型ECMカプセル10φ~20φまで同社全てのカプセルの少量入手が可能とわかり、評価テストに至りました。 (UEM-10、13、17、20)の4種類
【今回の単一指向性ECMカプセル4種類について】
・すべてのカプセルに共通してSN比と感度が高くきわめて高品位である。
・また今回のカプセルはいずれもFET外付けタイプですので通常のECMとはやや勝手が違いますので下図にて説明します。
(FETナシECMの外付けFET接続方法)
FET外付けECMの接続方法(出力回路)2種類です。
決定的な禁忌事項がありますので十分お気をつけください。
ドレイン(D)には+5Vを加え、ソース(S)から出力させるインピーダンス変換=「ソースフォロワ」の例です。
回路全体は記事末の「試験回路図」をご参考ください。
4種類のカプセル正面
(試験の模様)
カプセルとFETや高抵抗は「ティストレーナ」
に入れ、完全な静電シールドを確保。
【その音質・オーバービュー】
これはVoice及び暗騒音を音源としたShinの感想です
(φ20:UEM20)
ダイナミックレンジの大きなスケール感がありVoiceはオンマイクのとき実にリアルだ。
14KHZ付近をピーク点とし、低域20HZまで、高域20KHZまで直線的に約8dB下降のスペック特性。
「クリップオン・マイク」にしばしば見られる特殊な特性の為、一般的な大口径マイクとはかなり異なる音傾向。
むしろベタなオンマイクで良い結果が得られるだろう。
左は今回のφ20のカプセル、右は前記事
のオークションで入手した同口径単一指向性カプセル。
感度差は30数dBもありS/N差も天と地ほどある。
(φ16:UEM-16)
ダイナミックレンジが広く、ワイドレンジで好ましい音質傾向、室内暗騒音の自然さは特筆モノ、Voiceのオフマイクでも音痩せしない。
プレゼンスピークもまろやかな上品さを感ずる。
スペック上のf特パターンはC-451に酷似しているがオフマイク特性は確実にこちらに軍配が上がる。
背面感度比が最大34dB(500HZ付近)は決定的にハウリングに強くPA用途でも威力を発揮するだろう。
4機種の中で最も総合的にバランスのとれたオールマイティな高品位カプセルだ。
(φ13:UEM-13)
低域まで良く延び、音は柔らかくリボンマイクを彷彿させるナチュラルさだ。
高域の表情はWM-61A(改)とよく似ている。
背面感度はほぼ全帯域にわたって正面比-20dB前後であり、広帯域にわたってハウリングしずらいマイクになるだろう。
(φ10:UEM-10)
プレゼンスピークは高め(15KHZ付近)にある、スピーチの輪郭がはっきりしている。
低域は抑えられているが、SN比の高さ、背面感度比の高さからバウンダリーマイクやスピーチ用マイクとして良い結果を得られそうである。
・冒頭の「評価試験時のECM接続方法」図と併せてご活用ください。
(ECM専用高抵抗内臓型FET 2SK1109の例)
2SK1109-J34
(注意事項)
◎高抵抗使用の場合、素手で触れるだけで抵抗値は下がり不安定になる、これだけは絶対に守らねばまともなマイクロホンにはならない。
◎外付けに使用する高抵抗はメタルグレーズ抵抗です。 http://www.sengoku.co.jp/mod/sgk_cart/detail.php?code=8BUR-TFKK
◎FET外付け型ECMは超ハイインピーダンス部がむき出しになるためシールドケースに入れ、静電シールドを完全にしないとハムノイズがひどくテストはできません。
(お知らせ)
fetⅡ、fetⅡi、fet3、LZ-Ⅱ、LZGなど、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (オリジナル・パーツで製作) (Shin)
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