自作マイクMEMS化の流れは止められない
このサイトでMEMSマイクを自作用に本格参入させて1年半になります。
依然一部の目的外製品を除き、単体マイクとしては「自作品」の先行した状態が続いており、全世界から現状とそのなりゆきが見守られていることをこのサイト運営のなかで直接・間接を含めひしひしと伝わってきます。
MEMSマイク搭載メーカー製マイクが登場するためには未だ進化レベルが低いアナログ「単一指向性」MEMSマイクの性能向上を待つしかないのかもしれない。
Invensense社のICS-40730の卓越した高性能は自作マイクを大きく変える鍵になっていることは間違いありません。
「藁をもつかむ」なかでつかんだ「藁」の存在は大きい。
海外のフォーラムではそれが大きな話題となり始めています。
これは「ProbeⅡ 」をきっかけとしてICS-40730に対する絶大な評価をみても明らかなものがあり、MEMSマイクが自作マイクの本流として押しとどめることのできない進化を歩むことでしょう。
しかし、とどのつまりこの一品種頼みではECMのWM-61Aだけというのと同じであり、心もとなさを感じます。
実力のある第2走者・第3走者がいてこそホンモノになっていくと信じます。
第2走者であるKnowles社のSPM0687LR5H-1もたいへん貴重な存在です。
「日進月歩」では間に合わない「時進日歩」の現在、「ほかにも有るんじゃないか・・・」と思った。
そしてMEMSメーカーの全製品ウォッチングで3年ぶりに各社の製品を時間かけて一巡りした。
ここでも国産品の立ち遅れは目に余り、TDKの1品種以外みるべきものは何もない惨状は目を覆いたくなる。
そんな中のことです・・・
優秀な新製品を発見
ありました。YOUTUBEで同じ女性が「新製品を4年前から」いくつかの動画で特定MEMSマイク製品の説明を繰り返しているメーカー。
灯台下暗しを時で行くように、あの品種よりずっと優秀なアナログMEMSマイクがなんと同社から発表されていたではありませんか。
いま最も新しい高品位MEMSマイクといえるでしょう。
(Infineon社 2021.7.7開発終了品種)
それは Infineon社 IM73A135V01 です。
その総合力では3つの優秀品種のトップに立つかもしれない、
そんな期待感いっぱいのMEMSマイク新品種です。
特徴
Infineon IM73A135V01
周波数特性:20~20000Hz
SN比 :73dB (A)
AOP :135dB SPL
サイズ:3 x 4 x 1.28 とダントツに小さい
( ICS-40730: 4.72 × 3.76 × 3.5 SPM0687LR5H-1: 4.72 × 3.76 × 3.5 )
そしてなによりも特性データの美しさ
(それはオカルトではなく法則性があります)
そして「音質」だ。
筆者は驚いてすぐ発注しましたワクワクが止まらない。
下表 ICS-40730、SPM0687LR5H-1と主スペックを比較ください。
(注目点)
ICS-40730比、SN比で1dB低い73dBであってもAOPは11dB大きい「135dB」はやはり魅力かつ実質的であり、差し引きダイナミックレンジはICS-40730より10dB程度大きいのではないだろうか。
そしてサイズの小ささは応用範囲を広げることに大いに貢献する。
しかしマイクロホンで肝心なのはここまでの物理特性の優秀さで判断しては絶対にいけないというマイク、スピーカーの基本。
これは悪名高い「BTS規格」が廃止に追い込まれたような過去のあやまちから日本のメーカーだけが欧米から学んできた掟です。
「音は耳で判断する」という基本をはずしてはならない。
MEMSメーカーの常識、私たちの常識、そのズレ
一つ、この間勉強になったのはMEMSマイクのメーカー筋ではとんでもない常識がまかり通っていることです。
素人でも聴き分けられるS/N60dBと70dBの違いだが・・・
「SN比は60dB以上になれば、さらに努力して改善しても人間には聴き分けられない」と公言するMEMSメーカーの日本人専門家が存在することはこの「MEMSマイク」というジャンル業界内の思い違った常識の危うさを感じざるを得ない。
こうした考え方こそが国産MEMSマイク停滞の原因の一つと考えるべきでしょう。まだ間に合う、モノ作りニッポンいまこそ頑張れ。
もともと「音センサー」にすぎない「MEMSマイク」はそんな背景と認識の上に成り立っているジャンルであることを今更ながら私たちは知っておく必要があります。
部分的にでもその常識を破るためには「マス」(使用量)で勝たねばならないが100個200個でどうなる話ではない、したがって「マイクカプセル」とするMEMSマイク選択はいかに既存の機種からお宝を拾い出すか、いかに「有能な藁をつかみ出すか」こそが私たちにとって唯一の手段として続くだろう。
はたしてどんな音のMEMSマイクなんだろうか。
以上
おしらせ
MEMSマイク使用、話題のProbeⅡおよびFetⅡmemsおよびそのLzタイプなど、読者のみなさまからのご注文により優秀機種の手づくり製作領布を承っておりますのでお問い合わせください
fetⅡ、fetⅡi、fet3、LZⅡb は今や貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作を承ります
モノ作り日本もっと元気出せ!
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