YOUTUBE で
新発売のZOOMのF3フィールドレコーダの設定ノウハウや使い勝手と併せて当ブログ記事を参考にしたMEMSマイクを精力的に自作され発信しているAさんの作品を参考にさせていただきました。
(今回の記事はAさんのご了解をもとに公開しています)
「ZOOM F3」はかわいい手のひらサイズでありながらデュアルADコンバータを装備し32ビット、フローティング録音が絶大な素晴らしさ、今年1月に新発売し大ブレークしたまま、筆者も求めているが「納期未定」。
入力部はXLRのみ、ファンタム48V給電。その他のinputを持たないことで余分なトラブルを避け、高品位なマイクAMPとDual ADコンバータによる32bitフロート録音、の絶大な能力が光ります。
YOUTUBEでAさんが発表されたノイトリックのL型XLRコネクタに収納したコンパクトなマイクはデザイン的にも、このヘビーデューティな超小型高性能フィールドレコーダーにはピッタリ、「純正」としても自然な出来栄えです。
Aさん製作の「ZOOM F3/MEMSマイク」 (YOUTUBEより)
一方、こちらはそれを参考にShinが製作したものです。
機種名を「L-730mems 」としました。
いわば「ProbeⅡ」のL型版。外形はAさんの作品と同一です。
Aさんの作品はKnowles SPM0687LR5H-1使用、私はInvensense ICS-40730を使用しました、その違いだけでしょう。
左右対称に作ります。
実はまだ筆者の手元にF3の現物が届いてない為、読者のみなさまにはAさんの作品をYOUTUBEで参照いただく事を含め、コラボ記事とさせていただきます。
「L-730mems」マイクロホン製作記録
(ノイトリック L型XLRコネクタについて)
ノイトリック「NC3MRX」を完全にバラして使用します。
L/Rで基板収納は180度変えます、「切り欠き」を合わせます。
(マイクの左右で実装法が異なります)
(使用ステンレスパイプについて)
藤野金属のステンレス(SUS)パイプ: φ6.0×t0.2×2000Lを使用しました。
外径6.0mmですがt=0.2mmという薄地のため内径は5.6mmです。
メッシュに包んだMEMS(ICS-40730)を収納しました。
6Φの場合一般的にはt=0.5mmですのでその場合の内径は5mmとなります、 Knowles SPM0687LR5H-1でしたら収納できます。
※このパイプは7mmとかこれより太くするとMEMSマイクはこの向きでは背面の「管共鳴」防止音響処理がかなり難しくなると思います。
(管共鳴防止処理)
竹串を使って脱脂綿をピッチリと詰めます。量は0.06gでした。
パイプにマイクカプセル・ユニットを仕込む場合の最大難題は「管共鳴」(レゾネーション」です。
有害なレゾネーションはカプセル・ユニットの前・後ろそれぞれに発生し、適切な回避策が必要です。
また音の進入路を90度折り曲げた場合は一層難しくなります。
今回はMEMSマイクの音穴を管より1/2顔を出す方法をとり、さらに背面の管共鳴は脱脂綿の密充填によるrm(音響抵抗)により実質的に管の音響的Qを無効化しています。
(ステンレスパイプのGND処理)・・・誘導ノイズ対策
電子機器を構成するなかで「浮いた金属」であるステンレスパイプはこのマイク最大表面積の金属であるXLRコネクタシェルとの間に高周波的に一切のインピーダンスを持ってはいけません。
分散した金属同士は異なった大地電位を持つコンデンサです、互いに周囲電界に対し異なったポテンシャルを示します。
この為「金属部を手でさわるとハムが止まる」または「さわるとハムが出る」という障害にぶつかります
金属パイプとコネクタ部の2つの分散した金属は高周波的に同電位一体化した構造が必要です。
これは「EMC」(電磁環境両立性)プロセスです、ご参考ください。
3Mの導電性テープ No.2245は両面間でほぼゼロオームに近い導通があります。(データーシートが添付されています)
今回はパイプをアルミホイルで固く包み、それを「3M導電性テープ」で包み、半田付を可能にして太線(AWG-24)でシェルアースをおこないステンレスパイプとの同電位化・グランディングをはかりました。
(この場合のグラウンディングは分布定数の等価的接地であり「大地アース」を意味しません)
(基板の様子)
基板、作り込みの様子:4x4穴(11mm長にすべてを納め切りました)
上蓋にぶつかる場合は基板GND側角を少し切り欠きます。
基板をXLRコネクタと分離してシェル内に絶縁して収納する方法もあります。
(回路図)
回路的にはケーブル延長を考える必要が一切ないため「ProbeⅡ」と同一回路を採用した。
なかでもこの場合ICS-40730は差動使用に期待できるものは何もなく、むしろシングル接続の結果に一日の長があります。
これはデーターシートから判明しますので筆者もその後差動使用をやめました。
(完成)
一般動作ではProbeⅡ同様の高品位なマイクに仕上がった。
◎「入荷未定」のZoom F3の入手がいつになるのか、その時は絶大なる相棒になることでしょう、入手が待ち望まれます。
以上
おしらせ
fetⅡ、fetⅡi、fet3、LZⅡb など、読者のみなさまからのご注文により人気機種の製作領布を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作します)
MEMSマイク使用、話題のProbeⅡおよびFetⅡmemsも同様にリリースしています。
モノ作り日本もっと元気出せ!
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