マイク自作最大のネックは「マイクハウジング」にあります。
みなさまの作品を拝見する機会は多く、それぞれ独特のアイデアと工夫で乗り切っておられます、しかし「手作り感」は必然的に避けられないものがあることを理解しています。
でも、本当はそのことはマイクとして「大敵」、これが改善されればメーカー製と遜色ないものが自作でき、それは「ケース(ハウジング)次第」ということです。
(Shinの「FetⅡ」等は2009年に設計したオリジナル金物ですのでこの話の外にあります)
そこで今回は中華製激安ピンマイクのハウジングを使ってFetⅡ typeの「ファンタム式パナ改マイク」を試作しました。
やはり外筐がポイントですね、
こうして手作り感の薄い「ファンタム式パナ改マイク」になりました。
これはAMAZONのクリップマイク(@521円)の外筐だけ使いました。
(AMAZON 2022年9日現在)
ハウジングだけなら@399円のこれも同一です。
(AMAZON 2022年3月9日現在)
中身は全部捨てて、ケースとして十分使い道があります。
同類の製品がコロナ前は200円~500円でしたがリモートワーク需要のせいか価格は上がって多くは1,000円~3,000円程度になっていますが、中身はこれと同一です。
しかしよく探すとこの価格のモノもある、まもなく消えるかもしれない。
これが521円の中身です。
3線式改造しますが「ウィンドスクリーン」「クリップホルダ」「ポーチ」などが使えますね。
気になる点
AMAZONのこの一連のマイクですがカプセルが無指向性にもかかわらずハウジング裏側部分に空気穴のある「単一指向性」用であるのが気になります。
【FetⅡTypeのファンタム式パナ改マイクを製作】
ソースフォロワ式の長所
①ひずみ率の低減
②耐入力のUP
この2つにありますが、結果として音質の向上につながり、業務用マイクではこれが昔から常識です。
①ソースフォロワにより信号位相は180度変わることを意識する必要があります。
②FET回路で増幅させませんので出力レベルは10dB程度低くなる、SN比は同一です。
Shinがプラグインパワーを使わない理由はこれまでも繰り返し述べていますがプラグ・ジャックの宿命的欠陥問題やバックエレクトレット時の逆相に加えて決定的な問題が有ります。
それは、一般にプラグインパワー用入力(PC、カメラ、レコーダーなど)では「きちんと設計されたまともなマイクAMPが搭載されていない」というこということ・・・一部例外があるかもしれませんが。
「簡易的」である以外何の優位性もない方式、むしろ大きく劣勢であり、やがて消滅する運命にあると思います。
(FetⅡTypeピンマイク回路図)
FetⅡ 回路を踏襲、特に新規性はありません。
ECM電源にデカップリング・コンデンサなしの音が筆者は好きです。
電気的には「有り」が正解ですが、このコンデンサの有り・無しは「味付け」と考えた方がよく、種類によって大幅に音質変化しますのでそれはお好みによるチューニングの範疇で良いと思います。
(FetⅡTypeピンマイク基板部)
(マイクハウジング構造)
単一指向性ハウジング形状ですが実際には配線の影響で背面は「管鳴き」が影響するほどではなく特に吸音処理はおこなっていませんが、可能な範囲で元あったスポンジや脱脂綿などの詰め物による音響抵抗(rm)によってさらに効果を増します。
また6Φの単一指向性カプセルが入っている場合もあり、3線改造のうえ単一指向性ピンマイクを製作されるのも良いと思います。
MEMSマイク用にもICS-40730などで使えます。その場合背面に脱脂綿をきっちり詰め、空気穴をふさぎます。
これにより背面からのMEMSに対する別相音をキャンセルさせます。
(ご注意)
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以上
おしらせ
fetⅡ、fetⅡi、fet3、LZⅡb など、読者のみなさまからのご注文により人気機種の製作領布を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作します)
MEMSマイク使用、話題のProbeⅡおよびFetⅡmemsも同様にリリースしています。
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